魔術師(I) 創造者にしてトリックスター
魔術師は「個性化」とよばれる自己実現のプロセスを開きます。
真剣なプロフェッショナルであり、現実というテーブルに並べられた道具を使い、人を煙に巻いて不思議がらす。
自分の手品(自分が創造したもの)に落ち度があれば、どうしてそうなったかを解明しようとする、プロフェッショナルなのです。
「愚者」と共にトリックスターの元型と関わりがあります。
こちらのマルセイユタロットをみてください。
服の色は意図的に配置されているのがわかるでしょうか?
これは対立と相互作用、対比と協調性を示唆しているようにみえます。
(愚者はその反対で無秩序に見えます。)
帽子は無限大∞を連想させます。
まるで陰と陽、すなわちあらゆる自然に固有の肯定の力と否定の力との間の無限の相互作用を表す象徴である、太極図のよう。
左手にもつ棒は、エネルギーを集中させたり方向づけたりするための道具で、現実のテーブルに用意された品々のエネルギーを交え響かせようとしています。
「左手」にもっているというとは魔術師の力が知性や訓練によってもたらされたものではなく、むしろ生まれつきの無意識的な才能であることを示しています。
魔術師は迷路を作り出しもするが、それを抜けられるよう道案内もする。
幻想を作り出す自我意識でもあり、幻想を追い払う自己覚醒でもある。
というのも人間が混乱に巻き込まれていくのも、その混乱から自らを解き放つのも「意識」だから。
私たちは皆「魔術師」のもつ、未だ夢にも見たことのない啓示や企てを実現させることのできる魔法の力をもっています。
道具は揃っています。
その力をどう活かしていくかは私たち次第なのです。
このカードがひょこっと顔を出したら意識と無意識をつなぐ魔法をかけてくれるかもしれませんね。
参考文献